極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
ガタガタと震える身体で繭はそのことだけは神に感謝した。といっても、このまま刺されるのを待つわけにはいかない。繭は必死に気力を振り絞って、くるりと踵を返して一目散に走り出した。つもりだったが……やはり甘かった。川口に腕をつかまれ、動きを封じられる。
(あぁ、やっぱりダメだったか)
すべてを諦めるかのように目を閉じた繭の耳に樹の声が飛び込んできた。
「繭!」
繭はかっと目を開くと、慌てて樹に叫ぶ。
「来ちゃダメ。逃げてください!」
川口はナイフを持っている。繭がそれを伝えるより早く、樹はもう川口に飛びかかっていた。繭の身体は解放され、どさりと地面に投げ出される。
繭が顔をあげると、樹と川口が揉み合っているところだった。ナイフを持つ川口の右手首を樹が締めあげているが、奪うところまではいかない。樹は繭に叫ぶ。
「誰か呼んできてくれ。ひとりでは戻ってくるなよ」
(あぁ、やっぱりダメだったか)
すべてを諦めるかのように目を閉じた繭の耳に樹の声が飛び込んできた。
「繭!」
繭はかっと目を開くと、慌てて樹に叫ぶ。
「来ちゃダメ。逃げてください!」
川口はナイフを持っている。繭がそれを伝えるより早く、樹はもう川口に飛びかかっていた。繭の身体は解放され、どさりと地面に投げ出される。
繭が顔をあげると、樹と川口が揉み合っているところだった。ナイフを持つ川口の右手首を樹が締めあげているが、奪うところまではいかない。樹は繭に叫ぶ。
「誰か呼んできてくれ。ひとりでは戻ってくるなよ」