極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
「繭の願いはなんでも叶えてやりたいけど、それだけは無理かも」
「違うんです。そのっ、私、樹くんに隠している大きな秘密があって――」

 人差し指を繭の唇に当てて、樹は彼女の言葉を封じた。にやりと共犯めいた笑みを浮かべて樹は言う。

「とっくに知ってるよ、繭の秘密」
「えぇ?」

 混乱で真っ白になった頭を繭は懸命に巡らす。

(旬太のこと、気がついてたの? それともほかのなにかと勘違いして?)

 たじろく繭の身体を樹は持ちあげ、横抱きにする。

「あの、樹くん?」

 お姫さま抱っこを恥ずかしがる繭に樹はささやく。

「旬太は俺の子ども。だろ?」
「し、知って……いつから……」

 驚きのあまり言葉の続かない繭に樹はにっこりとほほ笑んだ。

「それに、もし俺の知らない別の大きな秘密があったとしても構わない。どんな秘密があったとしても、それごと繭を愛すると誓うよ」
「樹くん……」
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