極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
エピローグ
 裸のまま抱き合って、ふたりはいろいろな話をした。

「保育園の連絡帳……ってことは、ほぼ最初から気がついてたんですか?」

 繭は目を丸くして樹を見つめる。彼はくすりと笑って、繭の髪を撫でる。

「それに、二年前のあの夜が初めてだった繭が、それからたった半年足らずでほかの誰かと結婚、妊娠てのもピンとこなかったし」

 繭はあんぐりと口を開けて、呆然とする。精いっぱい遊び慣れた女を演じたはずなのに、あっさりと見破られていたとは……繭がそう愚痴をこぼすと、樹は破顔する。

「遊び慣れた女、には見えなかったな。態度はともかく、身体が慣れてないのはすぐにわかった」
「そんな……一生懸命がんばったのに」

 クスクスと笑い続ける樹に繭は唇をとがらせる。

「旬太のこと、気がついてたなら話してくれればよかったのに」

 樹に知られたら嫌われる、繭はずっとそうおびえていたのだから。樹は真剣な顔になって繭を見据えると、彼らしくない弱った声で言う。

「自信がなかったんだ……繭はひとりでもしっかり旬太の母親をしていて、そんな繭の目に俺はどう映るんだろうって」

 樹は後悔をにじませながら、続ける。

「自分勝手に抱いて妊娠させて、繭が大変なときになにもしてやれなかった。そんな俺が今さら旬太の父親になりたいなんて許されるのか……」
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