極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
「う、嘘じゃ……」
ないと言いきることはできなかった。
(だって、嘘だもん。彼氏なんていない)
作る気もない、恋愛に夢なんて見ない。繭がその境地に達した元凶のひとつがこの男だ。腹立たしさとみじめさに、繭は視線を落とし唇をかんだ。すると、ふいに背中が温かくなり、繭の頭ごしに台詞が飛んでくる。
「ピンかキリかはその目で判断したら?」
繭はちらりと視線を横に振る。
「――え?」
卓也も呆気に取られた顔をしているが、繭の驚愕はそれ以上だった。今、繭の背中を抱き締め、卓也に挑発的な笑みを浮かべているのは正真正銘のエリート弁護士だからだ。
「こ、高坂先生!」
繭が大きな声をあげると、彼、高坂樹は極上に甘い笑みを浮かべて繭を見つめる。
「プライベートでは樹って呼ぶ約束だろ」
繭は返す言葉もなく目を瞬かせた。
(えっと、これはいったいどういう状況?)
すると、樹は繭の耳元に顔を寄せてそっとささやく。
「今だけ彼氏になってやる」
艶っぽい声が脳にダイレクトに響いてきて、繭をほんの一瞬夢心地にさせる。が、すぐに我に返って樹の真意を探る。彼は意味ありげな目配せを送ってよこした。
ないと言いきることはできなかった。
(だって、嘘だもん。彼氏なんていない)
作る気もない、恋愛に夢なんて見ない。繭がその境地に達した元凶のひとつがこの男だ。腹立たしさとみじめさに、繭は視線を落とし唇をかんだ。すると、ふいに背中が温かくなり、繭の頭ごしに台詞が飛んでくる。
「ピンかキリかはその目で判断したら?」
繭はちらりと視線を横に振る。
「――え?」
卓也も呆気に取られた顔をしているが、繭の驚愕はそれ以上だった。今、繭の背中を抱き締め、卓也に挑発的な笑みを浮かべているのは正真正銘のエリート弁護士だからだ。
「こ、高坂先生!」
繭が大きな声をあげると、彼、高坂樹は極上に甘い笑みを浮かべて繭を見つめる。
「プライベートでは樹って呼ぶ約束だろ」
繭は返す言葉もなく目を瞬かせた。
(えっと、これはいったいどういう状況?)
すると、樹は繭の耳元に顔を寄せてそっとささやく。
「今だけ彼氏になってやる」
艶っぽい声が脳にダイレクトに響いてきて、繭をほんの一瞬夢心地にさせる。が、すぐに我に返って樹の真意を探る。彼は意味ありげな目配せを送ってよこした。