極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
 樹の車はシルバーグレーのセダン。そんなに車に詳しくない繭でも知っているイタリアブランドのものだ。彼が助手席の扉を開けて、エスコートしてくれる。

「どうぞ」
「すみません……」

 駐車場まで歩いてくる間に旬太はぐっすりと眠り込んでしまっていたが、今さら『やっぱり電車で』とは言い出しづらく繭はおとなしく助手席に座る。それに、樹が足を痛めたと言っていたのも気がかりだった。
 運転席に彼が腰をおろすとすぐに、繭は言った。

「足は大丈夫ですか?」

 樹は左足首の辺りをさすりつつ軽く首をひねる。

「あ~、軽い捻挫かな。ま、運転には支障ないから」

 繭は青ざめた顔で弱々しく口を開いた。二年前のアイスコーヒーといい、樹には迷惑をかけるばかりでこれじゃ疫病神のようだ。

「申し訳ありませんでした。それと、助けていただいて本当にありがとうございます」
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