極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
 繭の心の声が神に届いたのか、樹はさらりと言う。

「へぇ、結婚したんだ。そりゃ、おめでとう」
「ど、どうも」

 大丈夫だと思いつつも、繭の心中は穏やかではない……どころかパニック状態だった。

(結婚したけど離婚したって言ったほうがよかった? 正解がわからない!)

「男の子だよな。いくつ?」

(こ、これは正解がわかる!)

 繭は膝の上で小さくガッツポーズを作る。はっきりとした口調で、樹に答える。

「一歳になったばかりです」

 旬太は本当は一歳半だが、小柄なほうだし、そもそも子どもの成長は個人差が大きい。一歳だと言われてそれを疑う人はいないはずだ。

「かわいい盛りだな」

 繭の予想どおり、樹はすんなりとその答えを受け入れた。

(よかった! これで万が一を疑われても大丈夫だ)

 繭はほっと胸を撫でおろし、そこからは樹の質問にすべて正直に答えた。

「うちの事務所は辞めたって聞いたけど、弁護士会館にいたってことは法律関係の仕事は続けてるのか?」
「はい。今は先生ひとりの小さな事務所にお世話になっています。堂上先生といって、とても優秀な先生なのでいい仕事があればぜひ紹介してください」
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