極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました

　安心しきった繭は樹に営業活動までしてしまう。樹はぐっと眉根を寄せて小さくつぶやいた。

「どのうえ？　まさかな……」
「堂上先生をごぞんじですか？」

　繭が聞くと、樹は少し考えてから首を横に振る。

「いや、勘違い……だと思う」

（知り合いならすごい偶然と思ったけど。ふたりは年齢も離れているしそれはないか）

　沈黙が流れたので、今度は繭が樹に質問する。

「高坂先生はいつアメリカから戻られたんですか？　またミリガン＆ジェイに？」
「半月ほど前だ。いろいろ誘いはあったから迷ったけど、またミリガンに戻ってるよ」
「へぇ」

　案外義理堅いのだなと、繭は意外に思った。たしかに戻る予定だと言ってはいたが、彼の能力ならそのままアメリカで仕事をすることになるのでは？というのが大方の予想だったからだ。
　そのとき、目を覚ました旬太が自分の存在を主張するかのように大きな声をあげた。

「まーまっ」
「あっ、起きたね。旬太」