極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
愛想笑いを浮かべて繭がそれを受け取った、ちょうどそのとき、奥の応接間の扉が開いて慎太郎が顔をのぞかせる。
「あぁ、川口さん。いらっしゃい! どうぞ入ってくださいね」
応接間の扉が閉まるのを確認してから、繭は小さなため息とともにケーキの箱を開ける。はちみつ色のスポンジのなかに生クリームとカラフルなカットフルーツがたっぷりと詰まっている。たしかに、とてもおいしそうだ。丸太型のケーキの真ん中にはチョコレートのプレートが飾られている。
「ウィズラブ……?」
ホワイトチョコレートで描かれたメッセージに繭は軽く首をひねる。
(きっとお店側のサービスなのよ。うん、そうに違いない)
嫌な予感を振り切って、繭はケーキを事務所の冷蔵庫にしまう。
ふたりの面談は前回よりずっと短く、三、四十分ほどで終わった。
「繭ちゃん。川口さんお見送りしてくれるかな? 次回の予約はとりあえず不要だから」
「はい」
慎太郎の呼びかけに繭は立ちあがり、事務所の扉を開け川口を待つ。彼の表情はやはりにこやかだ。離婚問題で弁護士事務所を訪れた人間だとは誰も思わないだろう。
「あぁ、川口さん。いらっしゃい! どうぞ入ってくださいね」
応接間の扉が閉まるのを確認してから、繭は小さなため息とともにケーキの箱を開ける。はちみつ色のスポンジのなかに生クリームとカラフルなカットフルーツがたっぷりと詰まっている。たしかに、とてもおいしそうだ。丸太型のケーキの真ん中にはチョコレートのプレートが飾られている。
「ウィズラブ……?」
ホワイトチョコレートで描かれたメッセージに繭は軽く首をひねる。
(きっとお店側のサービスなのよ。うん、そうに違いない)
嫌な予感を振り切って、繭はケーキを事務所の冷蔵庫にしまう。
ふたりの面談は前回よりずっと短く、三、四十分ほどで終わった。
「繭ちゃん。川口さんお見送りしてくれるかな? 次回の予約はとりあえず不要だから」
「はい」
慎太郎の呼びかけに繭は立ちあがり、事務所の扉を開け川口を待つ。彼の表情はやはりにこやかだ。離婚問題で弁護士事務所を訪れた人間だとは誰も思わないだろう。