極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
 言いながら、手をグーパーする。手をつなげという意味なのは伝わったが、繭は戸惑う。旬太を抜きに手をつなぐことの意味を考えてしまったからだ。フリーズしている繭の手を樹は強引に引く。ぎゅっと握って指を絡められると、繭の心臓はどきりと跳ねた。

 行動とは裏腹に少し弱気な声で樹がささやく。

「――嫌か?」

 繭は弾かれたように、首を横に振る。

「そんなことないっ、です」

 ふっと彼がほほ笑んだのを気配で感じたものの、戸惑いと緊張で樹の顔を見ることはできなかった。
 つないだ手から溶け合って、樹とひとつになるような不思議な感覚を覚える。それはやけに官能的で、繭の身体の奥底を甘く疼かせる。

(ずっとこうしていたい……なんて、そんなこと願う資格もないのに)

 痺れるほどの幸福感と消せない罪悪感の間で、繭の心は激しく揺れ動く。

 
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