極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
 女が自分を好きなのは既定事項。そう言わんばかりの態度だが、彼ならば仕方あるまい。実際に彼の周りには、はいて捨てるほど女が寄ってくるのだから。

「いえ。先生の顔も声も大好きですが……おそらく恋愛感情ではないです」

 繭は正直にそう告げた。

(嘘じゃない。高坂先生への感情は多分恋じゃない。ただのファン、今ふうに言えば推しってやつよ)

 よい音楽や美しい絵画をめでるのと同じ感覚だ。繭はまるで自分に言い聞かせるように、何度もうなずいた。

「ふぅん」

 ちょっと興味を引かれた、そんな表情で樹は繭にぐっと顔を近づける。鼻先が触れ合う距離で、彼の吐息が繭の頬にかかる。

「気が合うな。俺も恋愛感情はないが、この身体はわりと好みだ」

 そう言いながら、樹は繭のワンピースの背中のファスナーに手をかける。手慣れた様子でおろされ、ワンピースは肩からするりと脱がされてしまった。こうなるともう、平静を装うのは難しい。緊張と恐怖で繭の身体はガチガチに固くなる。
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