極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
外でお弁当を食べて、イルカのショーを見て、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。はしゃぎ疲れたのか夕方には、ベビーカーのなかで旬太は眠り込んでしまった。
「ぐっすりです」
旬太の肩にブランケットをかけてやりながら、繭は目を細める。立ちあがり隣の樹に聞く。
「そろそろ帰りますか?」
樹は少し考えてから、ベビーカーをくるりと方向転換させた。
「どこに?」
慌てて繭があとを追うと、軽く振り向いた樹がいたずらっぽく笑む。
「クラゲコーナー。せっかくだからゆっくり見よう」
「あっ……はい!」
樹の優しさがうれしかった。クラゲの水槽、一度は回ったのだが旬太が怖がったため、ほとんど見ないままだったのだ。嫌いな理由は、絵本に出てくるお化けに似ているかららしい。クラゲコーナーは人も少なくしんと静かだった。ふたりは水槽の見えるベンチに並んで座る。
「貸し切り状態ですね」
繭たち以外に唯一いたカップルが隣の展示室へと去っていくのを見て、繭は言う。
「クラゲ好きは少ないみたいだな」
からかうような口調で言って樹は笑う。繭は唇をとがらせて「そんなことないですよ」と反論する。ちょうど最後のイルカショーの時間だ。人が少ないのはそのせいもあるだろう。
繭と樹はしばらく黙って、クラゲを眺めていた。青い世界を泳ぐ透明なクラゲたち。色とりどりのライトに照らされて、水色やピンクにその姿を変える。幻想的な光景に、繭は息をするのも忘れて見入ってしまう。
「ぐっすりです」
旬太の肩にブランケットをかけてやりながら、繭は目を細める。立ちあがり隣の樹に聞く。
「そろそろ帰りますか?」
樹は少し考えてから、ベビーカーをくるりと方向転換させた。
「どこに?」
慌てて繭があとを追うと、軽く振り向いた樹がいたずらっぽく笑む。
「クラゲコーナー。せっかくだからゆっくり見よう」
「あっ……はい!」
樹の優しさがうれしかった。クラゲの水槽、一度は回ったのだが旬太が怖がったため、ほとんど見ないままだったのだ。嫌いな理由は、絵本に出てくるお化けに似ているかららしい。クラゲコーナーは人も少なくしんと静かだった。ふたりは水槽の見えるベンチに並んで座る。
「貸し切り状態ですね」
繭たち以外に唯一いたカップルが隣の展示室へと去っていくのを見て、繭は言う。
「クラゲ好きは少ないみたいだな」
からかうような口調で言って樹は笑う。繭は唇をとがらせて「そんなことないですよ」と反論する。ちょうど最後のイルカショーの時間だ。人が少ないのはそのせいもあるだろう。
繭と樹はしばらく黙って、クラゲを眺めていた。青い世界を泳ぐ透明なクラゲたち。色とりどりのライトに照らされて、水色やピンクにその姿を変える。幻想的な光景に、繭は息をするのも忘れて見入ってしまう。