極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
「綺麗……」

 思わずつぶやくと、隣の樹がくすりと笑みをこぼす。

「デートのラストがクラゲでいいのか疑問だったけど、思ったよりムードがあって悪くないな」
「えぇっ」

 樹の発言に繭は勢いよく横を向いて彼を見る。急に動いたのでトンと、肩が触れ合った。それだけで繭の体温は急上昇していく。

(デートって、樹くんと私の? それとも旬太とのって意味かな)

 慌てふためく繭の頭は今にもパンクしそうだ。たじろぐ繭の顎をくいと持ちあげて、樹はまっすぐに繭を見つめる。

「少なくとも、俺はそのつもりだった。すごく楽しかったし」

 樹の耳がかすかに赤くなっていることに気がついてしまって、どうしようもないほどに繭の胸は高鳴った。いつもの余裕たっぷりで小悪魔な彼もかっこいいけれど、目の前の樹の破壊力は言葉にできない。
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