極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
四章 初めてで、特別で
繭と旬太と同居を始めて一週間。こうして堂上法律事務所に通い、ヒマそうな慎太郎と茶飲み話をするのも樹の日課になりつつある。友好的な主と違い、飼い猫のメロは樹を敵認定しているようで今日もフーフーと毛を逆立てて威嚇してくる。
「本当にごめんね、高坂くん。僕の依頼人のせいで世話をかけて」
今日の茶うけである抹茶色の落雁を口に放り込みながら、慎太郎は肩を落とす。樹に説得され、繭は慎太郎に川口のことを報告した。慎太郎はすぐに彼との契約をなかったことにし、二度と事務所に近づくなと警告した。それでも樹は不安で、こうして毎日繭を迎えに来ていた。
当の繭はといえば、月末の経理処理に忙しいようでこちらには目もくれない。
「いえ。堂上先生のせいではありませんから」
樹はいたって真面目にそう返す。実際、弁護士事務所においてこの手のトラブルは少なくない。悩んでいたり弱っている人間は、ふとしたきっかけで攻撃的になったりするものだ。
樹は目の前の慎太郎を観察するようにじっと見つめる。
(繭から事務所の名前を聞いたときはもしや……と思ったが、本当にあの堂上先生だとは)
「本当にごめんね、高坂くん。僕の依頼人のせいで世話をかけて」
今日の茶うけである抹茶色の落雁を口に放り込みながら、慎太郎は肩を落とす。樹に説得され、繭は慎太郎に川口のことを報告した。慎太郎はすぐに彼との契約をなかったことにし、二度と事務所に近づくなと警告した。それでも樹は不安で、こうして毎日繭を迎えに来ていた。
当の繭はといえば、月末の経理処理に忙しいようでこちらには目もくれない。
「いえ。堂上先生のせいではありませんから」
樹はいたって真面目にそう返す。実際、弁護士事務所においてこの手のトラブルは少なくない。悩んでいたり弱っている人間は、ふとしたきっかけで攻撃的になったりするものだ。
樹は目の前の慎太郎を観察するようにじっと見つめる。
(繭から事務所の名前を聞いたときはもしや……と思ったが、本当にあの堂上先生だとは)