極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
堂上慎太郎、樹はその名前を追いかけて弁護士になったようなものなのだ。彼は樹の大学の先輩で、卒業から十数年のときを経ても『東英法学部史上もっとも優秀だった人間』として語り継がれていた。
法学部に入学したばかりの樹は司法試験を目指すと決めてはいたものの、その先……裁判官か検事か弁護士かという具体的な道を定まていなかった。もっとも、祖父と同じ検事か父と同じ裁判官か、そのどちらかを選ぶことになるだろうと思っていた。
ところが、教授のすすめで傍聴した裁判の担当弁護士が慎太郎で、彼の鮮やかな弁論に魅了され、樹は弁護士を志すことに決めた。慎太郎の担当した案件は世間を騒がせた汚職事件から大企業の買収案件まですべて徹底的に調べあげた。どれも素晴らしい手腕で、目指すべき目標を見つけたことに樹は歓喜した。
八年前、彼がミリガン&ジェイと並ぶ四大事務所のひとつ『神楽木総合法律事務所』を辞めたと聞いたときは大きなショックを受けた。
「ん? 僕の顔になんかついてる?」
穏やかにほほ笑む彼は、すっかりしがない街の弁護士の顔になっていて樹としては複雑な気持ちだ。
法学部に入学したばかりの樹は司法試験を目指すと決めてはいたものの、その先……裁判官か検事か弁護士かという具体的な道を定まていなかった。もっとも、祖父と同じ検事か父と同じ裁判官か、そのどちらかを選ぶことになるだろうと思っていた。
ところが、教授のすすめで傍聴した裁判の担当弁護士が慎太郎で、彼の鮮やかな弁論に魅了され、樹は弁護士を志すことに決めた。慎太郎の担当した案件は世間を騒がせた汚職事件から大企業の買収案件まですべて徹底的に調べあげた。どれも素晴らしい手腕で、目指すべき目標を見つけたことに樹は歓喜した。
八年前、彼がミリガン&ジェイと並ぶ四大事務所のひとつ『神楽木総合法律事務所』を辞めたと聞いたときは大きなショックを受けた。
「ん? 僕の顔になんかついてる?」
穏やかにほほ笑む彼は、すっかりしがない街の弁護士の顔になっていて樹としては複雑な気持ちだ。