忘却不能な恋煩い〜再会した彼は、恋焦がれた彼女を溺愛する〜

「……聞いてもいいですか?」
「何?」
「あなたの言う同居にはどんな意図があるんですか?」
「意図ねぇ……。まずは体以外の相性を知ることかな。一緒に暮らすのが一番手っ取り早い気がして。無理ならすぐに解消して良いお友達になればいい」
「なんかそれも無責任」
「わからないよ。無理って思うのは美琴の方かもしれないし」
「じゃあ……もし相性が良いなって思ったら……?」
「さぁ……どうだと思う?」

 尋人は不敵な笑みを浮かべると、美琴の左手を取り、薬指の付け根をいやらしく舐める。

 美琴は恥ずかしさと、昨夜のことを思い出し、体の芯から震える。

 なんだろう。この人と話してるとすごく楽しいの……三年前もそうだった。楽しくて、もっと一緒にいたくなった。

 最近忘れていた感覚を、彼が思い出させてくれる。そして愛されているっていう甘い感覚も……。

「どうする? 朝食前にもう一回……」
「し、しません!」

 尋人は笑いながらベッドから降りる。

「シャワー浴びたら朝飯食いに行こう。うちの冷蔵庫空っぽだから」

 尋人の背中を見ながら、美琴は決意した。

「……じゃあその後に私の部屋に荷物を取りに行ってもいいですか?」

 尋人は目を丸くして美琴を見ると、慌ててベッドに戻ってくる。

「それって……」

 美琴は恥ずかしくて顔を背ける。

「……同居オッケーということです」
「マジで⁈」
「ただ条件をつけさせてください」
「……どんな?」
「……セックスはしない」
「はっ……マジで?」

 美琴の表情は真剣だった。

「体の関係ありきなのが嫌なんです……。そのために同居を続けるみたいじゃないですか……」

 寂しそうな美琴の顔を見て、尋人は理解する。あぁ、そうか。彼女は愛情が欲しいんだ。ちゃんと愛されてるって信じたいんだ。

「まぁ体の相性が良いのはわかってるしね。その条件、受け入れるよ」
「いいの?」
「もちろん。ただし、俺からも条件がある」
「な、なんでしょう……?」

 不安そうな美琴に、尋人は不敵な笑みをむけた。

「俺からは誘わない。でも美琴から誘うのはOK。どう?」

 美琴は何かを言おうとしたが、それをグッと飲み込んだ。その姿がかわいくて、尋人は美琴の首筋にキスをする。

「俺はさ、美琴をいっぱい歓ばせて、気持ちよくなって欲しいだけ。まぁ俺もついでに気持ちいいけど」
「わ、わかりました!」
「あぁそうだ。あともう一つ」
「な、なんですか?」
「美琴の寝室は作らないから。必ずこのベッドで一緒に寝ること」

 美琴は渋々頷いた。彼が示してくれた未来のために頑張るわけじゃない。私自身も彼との相性を知りたい。彼の長所も短所も知った上で、引きずっていた想いが本物なのか見極めたかった。
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