忘却不能な恋煩い〜再会した彼は、恋焦がれた彼女を溺愛する〜
でも私から誘うのはOKだなんて、見抜かれてたのかな……そう思うと恥ずかしい。私が彼とするのを嫌がっていないって言われているように聞こえた気がしたのだ。
まぁその通りなんだけど……。尋人のキスもその行為も、すべてが気持ちが良くて溶けてしまいそうだった。
同居なんだから体の関係なんか必要ない……だけどそれは美琴の強がりで、本当はもっと繋がっていたいと思ってる。でもそれだと欲を満たすだけで、根底の部分を見誤ってしまう不安があったのだ。
「美琴、一緒にシャワー……」
「入りません」
尋人とのこのやりとりを悪くないと思うのも本心だった。そのままの私で話しているのに、この人は笑って受け止めてくれる。それがすごく心地良い。
尋人が浴室に入るのを見届けてから、美琴はカウンターに置いたままのカバンの中からスマホを取り出す。
紗世から心配のメールが来ていたが、それだけだったことに安心した。とりあえず『心配しないで。また連絡するね』とだけ返信した。
尋人とは同居を了承しただけで、付き合うと言ったわけではない。ただ体の関係は持ってしまったし、これは二股になってしまうのだろうか。
近いうちにきちんと決着をつけないと。私の未来が尋人へと繋がっているかはまだわからないけど、彼には誠実でありたいと思った。