クールなイケメン総長さまの溺愛には注意です!
「五十嵐くん……この間はごめんね。泣いたり、バカって言ったりして」
あの時を思い出すと今でも情けない。たかがファーストキスを奪われたくらいで取り乱して。
五十嵐くんはちゃんと気持ちを伝えてくれたのに。私はその場から逃げてしまった。
「………清水さんは悪くないよ。全部俺が悪いんだ。あんなことになるのはわかっていた。だけど……気持ちを抑えるのに限界だった。情けないよな」
言いながらははっと乾いた笑いをこぼす。
私……酷いことしてたんじゃん。五十嵐くんは態度で示していてくれたのに。
今考えれば五十嵐くんのサインはいくつも散らばっていた。私を見るとたまに赤くなる顔。私にかけてくれた優しい言葉。
男子が苦手だった私にとって初めての男友達だったのに。
「ううん、私がいけなかったの。五十嵐くんの気持ちに全然気づかないで……ほんとにごめんなさい」
深々と頭を下げる。