彼と私のお伽噺
「キスして謝るなら、今日のところは許してやる」
「疑ってすみません……」
望まれるままに唇にキスすると、昴生さんが私にキスをし返して、そのままベッドに仰向けに押し倒してきた。
「一生俺のものだ、って言っただろ。今度疑ったり勝手に逃げ出したりしたら、許さねーからな」
黒褐色の瞳が、私を貫くように真っ直ぐに見下ろしてくる。
「ごめん、なさい……」
目力の圧に押されて頷くと、昴生さんが覆い重なるようにキスをしてきた。
おとなしく寝転がる私に満足のいくまでキスの雨を降らせたあと、昴生さんがちらっとベッドサイドのデジタル時計に視線を走らせて私を起こす。
「それより、早く着替えろ。さっきチェックアウトしてきた。あと一時間以内に出るぞ」
「え……」
「この部屋二日も予約してたらしいけど、週末ずっとここに篭るつもりだったのか?」
「え、っと……」
腕を組んだ昴生さんに呆れ顔で問いかけられて、口籠ってしまう。