秘密の溺愛ルーム~モテ男子からの奪い合いがとまらない~
「ところで、始業式前にふたりが会えてよかった。これから仲良くしてもらわないといけないからな」
それはどういう意味……?
なんて聞く暇もなく、学園長は意味深な笑みを浮かべて去っていった。
学園長の姿が完全に見えなくなると、私はイケメンさんに向き直り、頭を下げた。
「あのっ、どうもありがとうございました!」
見ず知らずの私を助けようとしてくれたなんて。
内面までイケメンすぎて、こんな人がほんとうに世の中に実在するんだ、って大げさじゃなくて思った。
「俺はなにも。それに、壊したんじゃなかったんだから。俺こそごめん、早とちりだった」
「いえっ! 私、もう生きた心地がしなくて……」
「フフッ」
整った顔が綺麗に緩む。
寸分の狂いもなく設計された彫刻のような顔だな、と思う。