秘密の溺愛ルーム~モテ男子からの奪い合いがとまらない~
「……うん」
「じゃ」
刹那くんは何事もなかったように、曇りガラスの向こうへ消えていった。
洗面台の鏡には、さっきの茹でたてのカニみたいに真っ赤な私が映っていた。
ぽーっとしたままリビングにもどって。
すとん。
ぽーっとした頭でソファに座る。
刹那くんから分け与えられたらほかほかの熱は、ぐんぐん体温を上げていく。
冷静に考えたら、すごい格好の刹那くんに抱きしめられてたんだ、私……。
「うわあ~~」
さっきとは違う意味で、クッションに顔をうずめる。
いま椿くんが出てきたら、熱があるって誤解されちゃうよ。
はあ~~。
残り熱に包まれながら、私はいつの間にか意識を手放していた──。