秘密の溺愛ルーム~モテ男子からの奪い合いがとまらない~
……そうだよね。
ここに通う人はきっとみんなお金持ち。
彼の醸し出すオーラを見れば、私みたいな凡人じゃないってことは一目瞭然だ。
ジュース……なんて幼稚な発想にはならなくて当然。
「名前は?」
「あっ、申し遅れました。来栖寧々です」
「寧々、ね」
──ドクンッ。
艶っぽい唇から、寧々、なんて呼ばれてたものだから、心臓が軽く跳ね上がる。
「俺は、一条刹那」
わぁ……なんてステキな名前。
名は体を表す……を地でいっていて、全然名前負けしてない。
「いちじょう……せつな……」
名前を反芻すれば、ふっと口もとを緩める彼。
その甘い笑顔に、また胸が小さく跳ねた。
勝手に体が反応しちゃうの。私、どうしたんだろう……。
トクトクトクトク……。
胸に手を当てなくても感じるほどの鼓動が、体中に鳴り響いている。