秘密の溺愛ルーム~モテ男子からの奪い合いがとまらない~

音を立てないようにもっと中をのぞくと。

やっぱり。

女の子から少し離れたところで、イーゼルに立てた画用紙に向かうのは琉夏くん。

足を大きく広げて椅子にまたがり、すこし前傾姿勢になりながら何度も女の子に目を向けては、鉛筆を走らせていた。

紙の上をサラサラと動く鉛筆はとてもなめらかで、マジックのように生み出されていく立体的な画。


「すごい……」


目が離せなくなった。

……ほんとにすごい才能を持った芸術家なんだ。

疑っていたわけじゃないけど、いつもヘラッとした琉夏くんがどんな風に絵を描くのかも想像もつかなかくて。

私は嫌われているのか、寮でも琉夏くんとはあまり話すことはないし、なるべく二人きりにならないようにしている。


書きながらも、琉夏くんは何度か女の子の所へ行って、手の位置や、布のシワ具合を調整したりしていた。
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