秘密の溺愛ルーム~モテ男子からの奪い合いがとまらない~
声をかけられてぎょっとした。

気づかなかったけど、最上段に男子生徒がひとり座っていたのだ。

始業式は明日なのに、制服を着て棒付きキャンデーを口に突っ込んでいる。


「……っ、」


見ない顔、って。
生徒はたくさんいるだろうに、全員覚えているかのような言い方。


「しかも、かわいい」


彼は、目の覚めるような金色の髪の毛をゆらしながら、くしゃっと笑う。

かわいい、じゃなくて童顔の間違いでは……?

そもそも、男の子のこういう言葉、私はうのみにしないけど。


「制服着てなにしてんの? 一般の生徒はまだ休みでしょ?」


そういう彼だって制服だけど……。

彼は、一般の生徒じゃないってこと?


「わ、私、今年からこの学校に編入してきてっ……今日ここについたばかりで……」
< 18 / 383 >

この作品をシェア

pagetop