秘密の溺愛ルーム~モテ男子からの奪い合いがとまらない~

そんなことがあってから、状況は劇的にかわった。

休み時間。

いつものようにスイーツをもって練り歩こうと準備していると、教室の外がガヤガヤ騒がしくなって。

琴宮さん陣営の子が、ドアを開けて廊下の人たちを制する。


「妃花さんとの握手なら──」

「来栖先輩、今日もお菓子ありますか?」


開いたドアから顔をのぞかせていたのは、昨日お菓子を受け取ってくれた女の子数人。

琴宮さんには目もくれず、見つけた私に向かって息を切らして声をかけてくる。


「えっ?」


琴宮さんは戸惑いを隠せない様子で、眉をしかめている。

私も同じ。

だって、私のお菓子を求めにやってきてくれる人がいるなんて信じられなかったから。しかも、すごい勢いで来てくれたみたい……。

彼女たちは少し照れくさそうに口を開いた。
< 239 / 383 >

この作品をシェア

pagetop