秘密の溺愛ルーム~モテ男子からの奪い合いがとまらない~

「……同じ、だったんだよ」


沈黙の部屋に静かに落ちた声。


「アンタが作った肉じゃが」

「え……」

「母親の味と」


どくんっ。


「だからさ、また作ってよ」


私を見つめる瞳は、絵を描いているときも違い。女の子を誘惑しているときとも違い。

哀愁の混じったとてもやわらかいものだった。

上がる口角も、どこか優しさを感じる。

琉夏くんに、こんな部分があったのかと驚いてしまうくらい。


もしかして……私の作ったご飯をまた食べたいと思ってくれて、毎日ここで夕飯を食べてる、とか?

けど、そんなうぬぼれたことは聞けない。


「う、ん」


そう言うので精一杯だった。

琉夏くんが、椅子から立ち上がってこっちに近づいてい来る。


「男の前で泣くのは反則」

「あっ」
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