秘密の溺愛ルーム~モテ男子からの奪い合いがとまらない~

「どうしよう」


完全に詰んでしまった。

じっとしていると、だんだん冷えてきた。

夏とは言え、涼しい山の夜は冬のように寒く感じて体はもちろん、歯までガタガタしてくる。

動かないと。

真っ暗な闇の中で、足を引きずりながらあてもなくあっちへ行ったりこっちへ行ったり。もう、もとの場所もわからなくなっちゃった……。

痛かった足も、感覚がマヒして痛みさえ分からなくなってくる。

時間の感覚もわかんない。

だんだん意識すらもうろうとしてきたとき、目の前でなにかがチラチラ揺れた。

どうやら、頭上からライトの明かりを照らされていると思った私は、最後の力を振り絞って、声を上げた。


「ここっ……ここですっ……!」


そう言って、私は力尽きた。
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