秘密の溺愛ルーム~モテ男子からの奪い合いがとまらない~
刹那side
【刹那side】
「佐藤さんも……みんなほんとにいい人たちばかりで。私、本当にここに転入してきてよかった」
頬を上気させる寧々は、興奮気味に報告してきた。
「よかったな」
またひとつ新しい寧々の顔が見れた。頭の上に手を乗せる俺もうれしくなる。
寧々が嬉しければ俺も嬉しい。
転入してきて良かった理由が、俺じゃないのが少し不満だけど。
一目ぼれなんてしたことのない俺が、寧々に初めて会ったあの日、恋に落ちた。
知れば知るほど、想いは強くなるばかりで。
ローズだからじゃない。
編入してきて突然ローズという重責に身を置くことになり、周りにやっかまれながらも文句を言うこともなく毎日笑顔で。
ローズ選挙でも、ひとりで一生懸命戦っていたその健気な姿にますます惚れた。
一目ぼれした俺の目に狂いはなかった。
「来栖さーん」
向こうの方から、手招きされている。
「うん、今行く! じゃ、刹那くんごめんねっ」
申し訳なさそうにしているけど、その顔は嬉しそうだ。
そして、あっという間に俺の元から行ってしまった。
なんだよ……と思いながらも、友だちと楽しそうに話しながら昼飯を食っているのを見ている俺の頬も自然と上がってしまう。
俺らがいたとしても、やっぱり同性の友達にはかなわないな。
せっかく友達が出来たんだから、邪魔しちゃ悪いと思い、サマーキャンプ中は必要以上に近くに行くのはやめようと思った。
寮に帰ればいくらでも話せるんだから。