秘密の溺愛ルーム~モテ男子からの奪い合いがとまらない~
そーっと顔だけを振り向かせて観察していると、いろんな人と気さくに挨拶を交わしている。
すでにクラス全員と知り合いみたいな感じ。
私に会った時も、見ない顔だねって言われたし、きっと知らない人はいないくらい顔が広いんだろう。
金色のマッシュな髪型が、より彼を軽やかに見せる。椿くんにはぴったりの髪型だ。
「あ、いたいた!」
すると、私とバチっと目が合ってしまい、これまたよく通る声を上げながら、椿くんはこっちへやって来た。
早速見つかっちゃった!
ぼんやり観察してる場合じゃなかったっ。
今更うつむいたって無駄なのはわかってるけど、反射的に下を向く。
「昨日はごめんねー、驚かせちゃって」
話しかけられたらムシなんてできなくて。
顔をあげたら、私に向けられた視線は椿くんのものだけじゃなかった。
ほぼ全員。クラス中の視線を浴びていた。