秘密の溺愛ルーム~モテ男子からの奪い合いがとまらない~

そう言って不思議顔をする彼は、気づいてないのだろうか。

まるで、街中で芸能人に遭遇したみたいに、周りから羨望のまなざしを向けられていることを。

それとも、もうこんなのは慣れっこで、空気みたいにすり抜けてる?


「それとも、寧々は嫌? 俺と一緒に行くの」


おまけに、子犬のような目で見つめられたら。


「ま、まさか……!」


ノーなんて言える人はいないはず……。

結局、私は痛い視線を浴びながら、講堂へ向かった。


講堂は、想像以上に……いや、想像どおり立派なものだった。

座席は舞台から扇形に広がっていて、観劇などのホールみたいに一段づつ高くなっている。


「そんなに珍しい?」


クスクス笑う刹那くん。


「う、うん」


その笑顔にドキドキしながらうなずくと、ポンポンと頭の上に手を乗せられた。
< 59 / 383 >

この作品をシェア

pagetop