冷めない熱で溶かして、それから。
「俺のメイちゃんは楽しませてくれそうだから、捨てるのはもう少し先だよ」
先輩は私のことを芽依ちゃんと呼ぶ。
いつもの優しい声音とは違い、楽しそうに、人を見下すように──私を捨てると。
その場面に遭遇していなかったら、私は最後まで遊ばれていたことに気づかなかっただろう。
まだ引き返せる状態だったから良かったけれど、これがもし告白に成功して、幸せいっぱいのときに捨てられていたら……きっともう、立ち直れなかった気がする。
それ以来、私は恋とは無縁の生活を送っていた。
男の人から近づいてくるときもあったけれど、また騙されているかもしれないと思い、どうしても距離をとってしまう。
前に進めないまま、私は毎日を過ごしていた。