冷めない熱で溶かして、それから。
8.はじめての感情
次の日の朝。
あんなことがあって、松野くんと平然と会えるわけがなく、私はまたいつもより早い電車に乗ろうとした。
けれどまさか……。
「えっ……松野、くん?」
松野くんが学校の最寄り駅のホームで待っていたときは、本当におどろいた。
いつもの眠そうな表情ではなく、真剣な表情で私を見つめている。
「ど、どうして?」
「昨日のこと、謝りたくて」
「……っ」
「今日じゃないと、もう二度と先輩と話せなくなるような気がしたんです」
正解でした、と続けて話す松野くんに対して何も言い返せないのは、たぶん図星だったからだ。
一度壊れてしまえば、元通りの関係に修復するのはきっと思っている以上に難しい。