冷めない熱で溶かして、それから。
「昨日は……いや、これまでもぜんぶ、本当にすみませんでした」
真っ直ぐ私の目を見て話す松野くん。
一度その瞳に捉えられてしまえば、もう逸らせない。
加えて頭を下げようとされたため、慌てて止めに入った。
もう十分、謝罪の気持ちは伝わっている。
「もう大丈夫、だから……‼︎とりあえずここから出よう?」
いくら朝が早いからといって、駅を利用する人はゼロではない。
いつ同じ生徒が現れるかわからないため、まずは改札を出て学校に向かうことにした。
「……すみません、周りが見えてなくて」
慌てる私の気持ちが伝わったのか、しゅんと落ち込んでしまう松野くん。
うっ、これは胸にくる……すぐに許してしまいそうになるけれど、そうはいかない。