冷めない熱で溶かして、それから。

「先輩のそばにいたいです。いま俺が言えるのはこれだけなんですが、いつか自信を持って先輩に気持ちが伝えられるまで待ってくれませんか？」

　私の答えが求められる。
　私の答えが今後の松野くんとの関係に大きく響くのだ。

　私はどうしたい？
　正直にぜんぶ話してくれた松野くんに対して、私は……応えたい。

　流されるわけでもなく、自分の気持ちを言葉にしたい。


「私は……怖いの」

　これが本音だった。
　松野くんとの距離が近づけば近づくほど、もし裏切られたら……また騙されていたらと考えると怖くなる。

　近づいた分だけショックは大きくなるから。


　もう頭ではわかっている。
　こんなふうに話してくれた松野くんが、先輩とは違うって。

　それなのに、いつまでも私の過去が縛ってくる。
　変わりたい。けれど……すぐには変われない。