冷めない熱で溶かして、それから。


 話さないと。
 怖いと思ってしまう、その理由を。

「私は……」
「先輩」

 松野くんの声にハッとする。
 いつのまにか俯き加減になっていた顔をあげると、松野くんは優しく微笑んでくれた。

「無理に話そうとしないでください。先輩にそんな顔、してほしくない」

 そんな顔……私、いまひどい顔してるんだろうな。
 だって、なんだか泣きそうだから。


「ご、ごめっ……」

「もうこの話は終わりにしましょう。明るい話に変更です、先輩」

 まだ答えを言えていないけれど、松野くんは話を終了させてしまった。


「でも……」

「じゃあ逆に聞きますけど、もし先輩がNOと言ったところで、俺が素直に諦めると思いますか?」

「……」

 松野くんの言葉に対し、黙って真剣に考える。
 うん、その答えもNOだ。

 松野くんが素直に諦めるとは思わない。

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