冷めない熱で溶かして、それから。
「そういうことです。先輩が諦めるしかないんですよ」
「……あれ、それって結局松野くんの思うがままに事が進んで」
「そうだ。今度の文化祭、よかったら密会しません?一緒にまわるのは先輩が抵抗あると思うんで」
「待っ、話が……」
「場所はこの間と一緒でいいですか?」
ダメだ、まったく私の話を聞こうとしない。
けれど……正直、このぐらい強引なほうがいまの私にはいいのかもしれない。
松野くんに流されている、という言い訳ができるからだ。
余計なことは考えずに、松野くんのそばにいられる。
「密会はしません」
「え、もしかして堂々と一緒にまわってくれるんですか?」
「それはもっと無理だよ……!」
松野くんとふたりで文化祭を過ごす?
一緒にまわるなんて、周りからの視線にやられそうだ。