冷めない熱で溶かして、それから。
◇
次の日。
私はいつもの電車に乗るため、ホームで電車を待っていた。
そういえば、昨日の男の人は今日もいるのかな。
ふと気になり、同時に怖くなった。
だって昨日、うるさいって言われたのだ。
もし今日も会ったとして、何を言われるかわからない。
念のため私は車両を変えることにした。
やってきた電車に乗るなり、まずは周りを見渡したけれど、昨日の男の人の姿はなかった。
良かった……。
今日も同じ車両に乗っているのか、それとも昨日がたまたま早い電車だったのかはわからないけれど、会うことがなく安心する。
電車に揺られている間、心穏やかに過ごすことができた。
同じ電車かもしれないというのに、私はつい警戒心が緩んでしまっていた。