冷めない熱で溶かして、それから。


 松野くんだ。
 どこか面倒くさそうな表情の松野くんが、私を見つけた途端──


 ふっと優しく微笑んだ。
 思わずドキッと胸が高鳴る。

 まるでその表情が、私にだけ見せてくれるみたいで、ちょっぴり特別感。


 私も同じように笑い返すと、松野くんの友達である津田くんも私に気付き、声をあげた。


「あっ、先輩……」
「孝之」

「えっ、なんだよ凪」
「早く席座るぞ」


 まるで津田くんの声をかき消すように、松野くんが口を開く。

 もしかして、私と知らないフリをしてくれようと気を遣ってくれた?


「ふーん、イイ男じゃんあの後輩」
「り、璃花子ちゃん……!」

「あの後輩にくっついてる女子、なかなかに厄介そうだからね〜」


 璃花子ちゃんの視線を辿ると、松野くんと津田くんのそばにいるふたりの女の人たちがいた。

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