冷めない熱で溶かして、それから。




「えっ、彼氏と一緒にまわらないの⁉︎」
「だから松野くんは彼氏じゃないよ!」


 私たちのシフトが終わり、空き教室で着替える私と璃花子ちゃん。

 璃花子ちゃんは当然私は松野くんとまわるはず……と思っていたらしい。


「だけど一緒にまわると思ってた。本当にいいの?」
「……うん」

 さっきの女の人たちと松野くんを思い出す。
 あんな綺麗な人たちが松野くんのとなりにいたら違和感なんてないけれど……私なんかって、思ってしまう。


「相手はまわりたいと思ってるかもよ?」

「そんなことないよ。松野くんは友達とまわってたし、急に誘われて迷惑と思われるかも……それに、こっそり会おうって約束はしてて!」

「密会ってこと?」


 うう……璃花子ちゃんまでそんな言い方する。
 密会なんて悪い風にしか聞こえない。

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