冷めない熱で溶かして、それから。
「殴るのは……ダメだよ」
松野くんが私のせいで停学とか処分されるなんて、ぜったいに嫌。
「話してくれてありがとうございます。先輩が男を拒否してる理由がわかって嬉しいです」
「嬉しい……?」
簡単に騙されるような女だって軽蔑したりしない……?
話したあとだったけれど、今さら不安になる。
「だって、過去の先輩を知れたから。俺の知らない先輩が知れて、もっと近づけた気がします」
松野くんは私と額をくっつける。
不安がうそのように消え、鼓動が速くなった。
松野くんのひと言ひと言に感情が振り回される。
「それなのに、近づけば近づくほど欲が出ます。もっとたくさん、俺の知らない先輩を見たいって」
あっ、これはかなり危ないかもしれない……。
どこか色っぽく、誘うような笑みを浮かべる松野くん。
また、松野くんのペースに呑まれてしまいそう。