冷めない熱で溶かして、それから。


「一緒に頑張ろうね、松野くん。いい結果出そう!」
「先輩に言われたら頑張るしかないですね」


 松野くんは筆記用具を鞄から出して課題に取り掛かった。
 となりの席に座っているため、松野くんの表情がよく見える。

 授業を受けているときもこんな姿なのかな……同じクラスの子が少し羨ましい。


 ひとつしか歳が変わらないのに、松野くんが遠く感じる。
 松野くんと同じ学年だったらなぁって。


「先輩、見つめすぎです」
「……へ」

「そんなに見られたら集中できないじゃないですか」
「ご、ごめん……!」


 つい松野くんを見つめすぎたようだ。
 どこか照れくさそうに話す松野くんの姿があった。
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