冷めない熱で溶かして、それから。


「……あ!」

 すっかり忘れていた。
 今日、私が松野くんと会った目的!

 ちゃんと好きって伝えて、いまの中途半端な関係を進展させたいって思っていたのだ。


「先輩、やっぱりダメですか?」
「いや……あの、ダメじゃない……けど」

「じゃあ決まりですね。ふたりで仲良く勉強しましょう」


 松野くんが含みのある笑みを浮かべる。
 これは何か企んでいそうな気がする……。

 だって仲良く勉強って……何?


「普通に勉強するだけだよね……?」
「息抜きも大事だと思いませんか?」

「テストも近いし、勉強しかしないよ?」
「そんなの、状況次第で変わるじゃないですか」


 これはぜったいに松野くんのペースに呑まれてしまうやつだ……!

 そんなの、簡単に流されてしまうに決まっている。

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