冷めない熱で溶かして、それから。


「松野くん、やっぱり……」

 慌てて場所の変更を申し出ようと思ったけれど、松野くんは私に顔を寄せて、「なんですか?」とわざとらしく尋ねてきた。

 ぜったいに確信犯……!
 こんなに顔を近づけられて、平気でいられるわけがない。


「ずるい……」
「俺ん家で大丈夫そうですか?」

「嫌って言ったら……?」

「そうですね……家でやろうとしてたことを、今ここでしましょうか」


 頬に手を添えられる。
 松野くんの目が本気だと語っていた。

 さすがにここでキスされるのはダメ……!



「わかった……!松野くんの家に決まりで!」

 そんなの折れるしかない。
 松野くんと家で勉強なんて、本当に大丈夫かな……。


「嬉しいです、休みの日も先輩に会えるなんて」
「……私も嬉しい、けど……」

 やっぱり複雑だなぁ。
 松野くんとの関係性が不明確で、もどかしい。

 今日の帰りに伝えよう。
 このもどかしさが少しでも消えるように。
 後悔がないように──

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