冷めない熱で溶かして、それから。





 その後の勉強は思ったより捗った。
 松野くんも今日だけで結構進んだようで、何とか期限までに終わりそうだと話していた。


「結構遅くなっちゃったね」
「そうですね」

 すっかり日が沈み、辺りは暗くなっていた。
 いつもより暗い駅までの道を、松野くんとふたりで歩くのは、なんだか変な感じ。


「それより先輩、今日は俺に何の用だったんですか?」
「えっ……」

「先輩から一緒に帰ろうって誘われるの、初めてだったんで驚きました。何かあったのかなって」


 松野くんは私から話があることを、何となく察していたらしい。

 話すなら……いま、だよね?

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