冷めない熱で溶かして、それから。
◇
その後の勉強は思ったより捗った。
松野くんも今日だけで結構進んだようで、何とか期限までに終わりそうだと話していた。
「結構遅くなっちゃったね」
「そうですね」
すっかり日が沈み、辺りは暗くなっていた。
いつもより暗い駅までの道を、松野くんとふたりで歩くのは、なんだか変な感じ。
「それより先輩、今日は俺に何の用だったんですか?」
「えっ……」
「先輩から一緒に帰ろうって誘われるの、初めてだったんで驚きました。何かあったのかなって」
松野くんは私から話があることを、何となく察していたらしい。
話すなら……いま、だよね?