冷めない熱で溶かして、それから。
「勝手に先輩と付き合ってるような感覚でいました、俺」
「えっ、そうなの⁉︎」
松野くんの中で私たちは付き合っているってことだよね……⁉︎
それは知らなかった。
私だけが中途半端な関係に悶々としていたようだ。
「ここ最近、先輩に触れないよう我慢して、先輩後輩の関係でいようと意識してたんですが……ぜんぜん物足りなくて、先輩を自分のものにしたい、独り占めしたいって感情が膨らんでいきました」
やっぱり松野くん、意識して距離をとっていたんだ。
物足りなく感じていたのは、私も同じ。
「それが文化祭のときに爆発した感じですね。すみません、言葉足らずで……」
そっと、松野くんに手を繋がれる。
優しく温かな手に包まれ、私も思わず握り返した。