冷めない熱で溶かして、それから。


「松野くん……?」

 やっぱり松野くんの様子がへんだ。
 私の気のせいじゃなかったみたい。


「どうしたの?もしかして体調が悪いとか……」
「今日まともに勉強できる気がしないです」

「あっ、サボるのはダメだよ!私がちゃんと監視しとくからね!」


 ここは先輩として、松野くんに真面目に勉強してもらい、進級してもらうんだ!と意気込む。


「……たぶん無意味だと思いますけど」
「なっ……!」

 今日の松野くん、いつも以上に失礼だと思ったけれど、その言葉の意味に気がついたのは家に到着してからだった。


 松野くんの部屋に案内され、彼は飲み物を用意するとリビングに行ってしまった。
 テーブルの前に座って待つことにした。

 こんな密室でふたりきりなんて……少し緊張してしまう。

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