冷めない熱で溶かして、それから。
いや、そもそも言わなくていいのか。
でもそれだと堂々と松野くんと会えないのだ。
一緒にご飯を食べたり、帰ったり……それができず、いつもどこかでこっそり会っていること、松野くんはどう思ってるのかな。
今日も放課後、松野くんと駅で待ち合わせをして一緒に帰る予定だけれど、ほかの生徒たちと被らないよう、少し時間を遅らせて会う約束をしている。
「そこまで徹底しなくても良いと思うけどな」
璃花子ちゃんはそんな私たちに対して、呆れていたけれど……今すぐにはできそうにない。
「そんなベタ惚れなら誰も何も言わないって。もし何かあっても、後輩くんがぎゃふんとしてくれるでしょ」
「松野くんに迷惑はかけたくない……」
「もっと自信持ちなよ!ふたりとも、お似合いだから」
落ち込む私に対して璃花子ちゃんは元気付けてくれたけれど、気を遣わせてしまって申し訳ない。
いろいろと悩みはあるけれど、今は放課後に松野くんと会えるのを楽しみに、マイナスなことは忘れようと思った。