冷めない熱で溶かして、それから。
「凪が頼りないのが一番の原因でしょ」
「すでにうわさが広まってるんだから、いっそのこと芽依先輩が俺の彼女です!って公開しちゃいなよ」
なんだろう……ふたりとも姉御肌なのか、すごく璃花子ちゃんと重なる気がする……。
勝手に怖い人だと決めつけていた自分が恥ずかしいよ……。
「お前らが決めることじゃねーだろ。とにかく今は誰にも言うなよ」
ちょうど電車がやってきて、松野くんは私の腕を引く。
「じゃあな。ついてくんなよ」
「あっ……」
最後に挨拶がしたかったけれど、電車の扉が閉まってしまう。
私は扉の窓越しに頭を下げ、そのあと小さく手を振った。