冷めない熱で溶かして、それから。


「凪って思った以上に単純なんだね」

「わかる、難攻不落ってイメージがあったけど……まあ、こんなかわいい先輩に初めてだって言われたら喜んで当然か」

「ウチも男だったら芽依先輩に即落ちだよ」
「お前ら邪魔するうえに言いたい放題だな」


 3人で繰り広げられる会話は聞いているだけでも面白くて、つい笑みがこぼれてしまう。


「なに笑ってるんですか、先輩」
「ひゃっ」

 突然、松野くんが私に顔を近づけてきた。
 こ、こんな場所でこの距離はちょっと……!


「あ、照れた……かわいい」
「……っ、松野くん」

「わかってますよ。これ以上はふたりのときに、ですよね?」


 松野くんは意地悪そうに笑う。
 突然、男の人の顔になるのは心臓に悪いよ……。

 私ばかりドキドキさせられているようで、少し悔しかった。

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