冷めない熱で溶かして、それから。
「途中で先生に捕まったんですよ、災難でした」
「先生に?大丈夫だった?」
先生……といえば。
この前、松野くんの担任と名乗る先生から、私のおかげで松野くんが真面目に授業を受けてくれるようになったと感謝されたことがあったなぁ。
松野くんには話していないけれど。
だって、私はなにもしていない。
松野くんが自分の意思で動き、真面目に授業を受けているのだ。
「最近は真面目で偉いなって褒められましたよ。ちゃんと彼女のおかげですって言っときました」
「えっ、先生の前でそんなこと言ったの⁉︎」
「だって事実ですから。あのとき、先輩と出会ってなかったら、今もたぶんサボり続けてました。先輩のおかげです」
「私はなにも……」
「先輩を見てるとサボってた自分が恥ずかしく思えたんですよね。ありがとうございます、あのとき電車で声をかけてくれて」
松野くんの言葉で、最初に出会ったときのことを思い出す。