冷めない熱で溶かして、それから。
寝過ごしそうになっていた松野くんに勇気を出して声をかけてたあと……。
「たしか松野くんに睨まれたなぁ……」
「うっ……それ、地味に気にしているんですよ俺」
「ご、ごめん!そんなつもりは……!」
いまでは懐かしいと思えるほど、昔の記憶に感じてしまう。
これも一種の思い出だなと私は思っていたけれど、松野くんは気にしているようだった。
「あのときはどうかしていました。本当にすみません……」
「そんなに何度も謝らないで?もう昔の話だし」
私は大丈夫なのに、いつまでも気にしている様子の松野くんを見てかわいいと思ってしまう。
こういうところは後輩っぽくて、私がしっかりしないと……!と思う。